「小説より奇なる実話」

 先日購入したが、他の作品に関心が向いてツンドク状態

だった「記憶喪失になったぼくが見た世界」

ようやく、読みだしたら止まらず、珍しく一気読みし、

且つ、興奮が醒めやらない。

 

 筆者本人が大学入学してすぐに交通事故に会い、非常に重い

記憶喪失になるも、母の必死な助けを得て、普通の生活が

出来るまでの努力の記録である。

 

 読み物としては、ダニエル・キースの「アルジャーノンに

花束を」や、韓国ソン・ウオンピョンの「アーモンド」を

思い浮かべながら読んだが、内容がまるで違う。

 

 それにしても、記憶がゼロから普通に生活できるまで

立ち直る過程をここまで書けたのが驚きである。

 

 要所要所に「母の回想」が出てくるのが良い。 

構成としても良く出来ているのが素晴らしい。

 

 まるで小説のような話だが、記憶が回復したのではなく、

新しく記憶を作り上げた記録だという点にも注目だろう。