最後のレミーマルタン

 アルコールは毒であり、肝臓で解毒する必要がある。

日本人の場合、男の二人に一人はこの解毒能力が弱いらしい。

 

 然し、解毒パワーが強いと、いくら飲んでも酔えないらしい。

周りでは、父親が30台で琉球泡盛を飲んでも効かなかったと

云っていたが、そのせいで40台で胃潰瘍になり、60過ぎで

胃がんで死んだ。

 

 会社でも酒の強い人が若死にしたり、親類でも長男が

肝硬変で父親より先に死んだ。

 

 入社してすぐに直属の上司が赤坂のバーに連れて行って

くれた。 上司は無類の酒好きで、飲み相手が欲しかった

ようだった。 ウイスキーの水割りを初めて飲んだが、

効かないと云ったら、ママがファンタ割りを出してくれ、

飲みやすいから飲み過ぎ、その前にご馳走になった料理も

無駄になった。

 

 それ以来、上司は二度と誘ってくれなかったが、仕事が

忙しくて毎晩10時まで残業で、誰からも誘われなかった。

 

 ところが、ニューヨークに単身赴任したら、昼食の前に

必ず小瓶のビールを飲むようになり、夜もレストランに

行くと先ずビール。 次にウイスキーの水割り。 食後に

消化を良くするとかで、甘くてアルコールの濃い飲み物が

定番で、2年間で12キロも太ってしまった。

 

 ウイスキーはブランドが豊富だから、いろいろ試飲したが、

シーバスリーガルを飲んだら他は飲めなくなった。

ブランデーはヘネシーを試したが、レミーマルタン

出会ったら、ほかのブランデーは飲めなくなった。

 

 出張で日本からメキシコ経由ニューヨークに来た酒好きの

メーカーの課長から1本1ドルで買ったというテキーラ

勧められたが、一口飲んだらむせ返って飲めなかった。 

後日、ヒューストン駐在員にその話をしたら、それは安物

だからで、ちゃんとしたブランドなら旨いのだと教えられた。

 

 ブラジルに出張したときにレストランでピンニャコラーダ

という、ラム酒をベースにした甘口のカクテルを出された。

旨いのでお代わりをしたら、後でえらい目に会った。

 

 アルコールの解毒はアルコールの種類によっても違うようだ。

ウイスキーとかブランデーなどの蒸留酒のほうが日本酒やワイン

などの醸造酒より解毒しやすいようだ。

 

 だから、40代でアメリカに居たときはシーバスリーガルか

レミーマルタンばかり飲んでいた。ブランデーは水で薄めるのは

勿体ないから、もっぱらストレートで飲んでいた。

然し、元々酒好きでは無いから、ブランデーを紅茶に落とす

くらいで、アルコールとの縁は切れていた。

 

 シーバスリーガルは買い置きしているが、レミーマルタン

スーパーでは置いてなく、長年売り場で探したが買えなかった。

 

 それが、久しぶりに、瑞穂町のハイパー・スーパー、ジョイフル

本田に行ったら、懐かしいパッケージを見つけた。 飲む当ても

ないのに、やっと逢えたという感動で買ってきてしまった。

 

 飲まなくても飾っておくだけでもハッピーにしてくれるのだ。

 

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 パッケージの裏側の説明を見たら、輸入業者の住所が「麻布台」

とあり、懐かしさと何かの縁を感じた。

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